養育費
養育費 もくじ
養育費とは
養育費とは、未成熟子が社会人として独立自活ができるまでに必要とされる費用であるその根拠規定としては、婚姻費用分担(民760条)、夫婦間の扶助義務(民752条)監護費用(民766条)の3つがあります。未成熟子の範囲は、子の福祉の観点から、経済的に独立して自己の生活費を獲得することが期待できない段階にある子女か否かで定まるので、「未成年者」の範囲とは必ずしも一致しません。
養育費の相場
養育費の額に法的な規定はありません。父母の収入や財産、生活レベルに応じて協議離婚では当事者の話し合いで決めます。家庭裁判所の調停・審判によって定められた養育費の額は、月払いのケースで子供一人につき2万~4万円程度が、最も多くなっています。協議離婚でも、裁判所の「養育費算定表」を一つの目安に計算するようになってきました。
養育費の変更
離婚後に、養育費の増額も減額もできる、正当な理由があれば養育費の変更も可能です。養育費の支払いは長期にわたるものなので、さまざまな状況の変化に応じて離婚時にきめた養育費の額を変更することができます。養育費の変更については、双方の話し合いによって決めます。話し合いがつかない場は、家庭裁判所に「養育費請求」の調停申立をします。
養育費の増額理由
- 子どもの進学や授業料の値上げによって教育費が増加した。
- 子どもの病気や怪我で多額の医療費がかかった。
- 看護者の病気や怪我で収入が低下した。
- リストラや会社の倒産などで看護者の収入が低下した。
養育費の減額理由
- リストラや会社の倒産、事業の失敗、病気、けがなどで支払う側の収入が低下した。
- 看護者が再婚や就職で経済的に安定した。
養育費の支払い期間
養育費の支払いは、「子が満20年に達した日まで」とするのが一般的ですが、子が成年に達した後であっても、子が4年生大学、短期大学、専門学校に進学している場合や、子が病気で働けないなどの事情が有る場合は、子が要扶養状態にあるとして親に扶養義務が認められる場合があります。
成年後の養育費の取り決め
子がまだ大学等へ進学していない事案については、当事者間にその負担について合意がある場合を除いて、成年後の養育費を請求できないとする見解があります。これに対し、当該家庭の経済的、教育的水準を考慮して、現に大学に進学している子につき4年制大学を卒業すべき年齢時まで養育費の支払い義務を負うとした裁判例があり注目されています。結論的に、離婚時に「養育費の支払いは、子が4年生大学を卒業する月まで」と取り決めておいた方が無難です。
養育費を請求しない合意
離婚に際して夫婦間で養育費を請求しない合意があっても、後から養育費を請求できるのでしょうか?不請求の合意が子の福祉に反する特段の事情が認められない限り、不請求の合意は有効とされています。もっとも、合意後の事情変更が認められる場合には、養育費の請求が認められます。
合意後の事情変更を肯定した裁判例
- 子の教育費の増加
- 親権者の収入状況
- 財産状況の変更
- 非監護者が離婚当時は無職だったが、その後就職した
合意後の事情変更を否定した裁判例
- 子が学齢期に達すれば教育費等によって養育費が多少増加する程度のことは養育費を決める際に考慮されていること
- 監護者が普通程度以上の生活を送っており、子も不自由なく生活していること
- 離婚後1年経過しておらず生活状況等が変化していないこと
養育費と再婚
子連れで母が再婚した場合、前夫の養育費支払い義務はなくなるでしょうか?当然なくなるわけではありませんが、その子が再婚相手と養子縁組した場合には、前夫の扶養義務は再婚相手である義父に劣後することになるので、前夫が養育費の減額を請求すれば認められる可能性は高いです(原則として支払い義務を負いません)。連れ子と養親が養子縁組をしない場合には、前夫は従来どおり養育費支払い義務を負います。
養育費と時効
養育費は一般の債権として10年で時効にかかります。公正証書や調停調書にして養育費を取り決めておいても、10年間請求せずに放置しておいた場合は消滅時効に係ります。相手が支払う能力が無いからといって、諦めないでこまめに請求するようにしましょう。
養育費と面接交渉権
面接交渉は、非監護権者となった親の精神的な充足という面だけでなく、子の成長にとって大切な役割を果たすものであるため、実務上も可能な限りこれを実現する方向で検討されています。養育費の支払いは子の権利、親の義務であり、面接交渉も子の権利であり、親の権利でもありますが、養育費を支払わなくても、面接交渉権は請求できますし、面接交渉をしないで子の養育費を支払う非監護権者もいます。従って、養育費の支払いと面接交渉権は個別の権利義務の存在と考えるべきです。
養育費などは公正証書に
離婚に際して、子の親権者、慰謝料の支払い、財産分与、子の養育費など夫婦で決めるべき約束事が山のようにあります。とりわけ子の養育費の支払いは20年近くの分割支払いになることもあるため、夫婦の間で単なる口約束や私書で書いて署名・押印した契約書を持っていても、支払い側は一月遅れ、半年遅れが常態になり、子を引き取った権利者も請求が面倒になってしまい、長期間そのまま放っておくことになります。
このようになることを避けるため、協議離婚の際に公正証書を作成し養育費の支払いを確保すべきなのです。公正証書に養育費の支払いを記載していながら、滞りがちになり何度催促してもほとんど支払ってくれない相手には
- 強制執行
- 履行勧告
- 履行命令
などの制度を利用することができ、最終的には相手の不動産や給料を差し押さえることができます。
従って、離婚する際には調停で各条件を決めるか、相手が調停を避けたい場合は、公証役場で離婚の際の各条件を公正証書に記載しておくべきです。公正証書でも(強制執行を認諾する)という文言が記載されていれば、調停調書と同じ効力があり、相手の給料、財産の差押さえが可能です。
養育費のご相談
私の事務所では、離婚時に調停調書や公正証書を作成しても、なかなか約束を守ってくれないため、困っている人にアドバイスをしております。遠慮なくご相談ください。
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