カルト教団からの脱却

教団からの脱却

変な宗教に入ってしまって・・・

ある日、小学校の幼馴み松田則子さん。(文中の教団名・教祖名・教団の役職名・人物名は全て仮名)が浮かぬ顔して来所。「やぁ、マドンナどうしたの?熟年離婚の相談?」という私の冗談に反応もせず彼女はこう切り出した。lf12a053c-s.jpg

松田「東京に住んでいる姉の子が変な宗教に入ってしまって・・・」
私(渡辺)「まさか、あのオウムに!?」
松田「違うけどそれに近い変な教団。法の光三法行・福田法然教祖って知ってる?」
私「書店の一番目立つ場所に福田法然の本がズラリと並んでるね。足裏診断とか週刊誌で話題になっているのは知ってるけど」

松田則子の姪・橋本尚子(26歳)は都内のマンションに両親と暮らしている。父親も一流企業の役職付の社員で、外見上平和そうに見える家族。その尚子の言動がここ数ヶ月おかしいので探偵社に行動調査を依頼。すると「土日及び退勤後は渋谷駅等で法の光三法行という宗教の布教活動をしている」との結果が出た。

教団に出家して世の中を救済したい!

000803_1061_3035_v__v.thm[1].jpgオウム真理教による地下鉄サリン事件からまだ1年たつか経たないかの時期だけに、両親は一瞬にして家族崩壊の岐路に立たされた思いで、放心状態になった。

両親は、夜遅く帰宅した尚子に問いただすと、「教団に出家して世の中を救済したい」と平然と言った。母親は、「田舎のおばあちゃんが危篤。明日一番の電車に乗って見舞いにいこう」、と娘を拉致まがいに母百合子の実家に連れてきた。

集まったのは尚子の父母、実家(荒木宅)の長男夫婦と成人した子供たち。次男夫婦と子どもたち。松田則子夫婦と子ども。「一族が実家に集まって尚子を軟禁状態にして一週間、脱会の説得を試みたが尚子に敵わない」と則子さんは嘆き「尚子と会って説得してほしい」と則子さんは私に言った。

脱会カウンセラーじゃないよ!

apc0505-s.jpg「なんでオレが!・・。オウム事件のあと、流行っている脱洗脳・脱会カウンセラーじゃあないよ。そんな知識俺にはないもの・・」と言いつつも、「じゃあ今晩行ってみる・・」と受けてしまう私。

荒木宅を訪問すると、尚子さんを取り囲んで10数人の親族全員が広間の壁に背を倒し、足を床に投げ出して疲労困憊の放心状態・・・。尚子さんだけが、キッと目を見開いて、不機嫌そうに青白い顔をして正面を見据えて坐っていた。

「こんばんわ・・・」「弁護士さんですか?」「いえちがいます・・。『悩み事相談室』の所長で、則子オバサンの友だちです。尚子さんの法の光のお話を聞きたくてきました。反対するつもりはありませんので・・」

修行での神秘体験

lpsa1205c-s.jpg挨拶したあと尚子さんの前に正座して「尚子さん・・あなたはあの教団の修行で神秘体験をしたのでしょう。そのお話を聞かせてください」と、小声でいう私の顔をびっくりしたように、じっと見つめる彼女。

しかし、尚子さんも疲れている様子がありあり・・・則子さんに、「尚子さんを開放してやって・・この人は逃げないよ。皆さんもご苦労様です。明日から仕事についてください。尚子さんは1~2日付近の海岸でも散歩して疲れを癒してください」と解散を宣言。

私と尚子さんの激論を期待していたらしい皆は拍子抜けしたような顔、しかしほっとした様子でそれぞれが帰路につきました。二日目の夜、荒木宅で私は尚子さんと向かい合いました。ご両親や則子さんたちには別室でテレビなどをみてもらいながら。

私は、特定の宗教の信者ではないこと、宗教評論家でもないこと(言われなくてもわかる!という顔をされた(笑))、カルト教団脱会カウンセラーでもないこと(また同じ顔をされた)、を尚子さんに告げた。

そして「いままで私が聞いたこともない法の光という宗教団体のことを聞きたいのです。よかったら教えてくれませんか?」と水を向けると、彼女は「修行中の神秘体験のことどうして知っているのですか?」といきなり核心に入ってきた。

私は「禅寺の坐禅会に参禅して、宗教の修行には神秘体験があることをお坊さんの説法で知った」と明かして、説法の概要を話し始めた。

難行苦行の末に現れる不思議な精神作用

hlt020a-s.jpgどんな宗教でも、一心不乱に何時間も何日も何年間も題目を唱え・マントラを唱え、聖典を唱え、滝に打たれ、不眠不休、断食行、瞑想、坐禅など難行苦行をしていると不思議な精神作用が現れる。

例えば、目の前が真っ暗になったり、真っ白になって何も見えなくなったり、眼前に如来像が現れたり天狗が出てくることもある。きれいな景色が見えたり、丸い光が天地一杯になったのを見たり、後光がさしたり、「お釈迦さまを見た」「神の姿を見た」という人もいる。神秘的な笛の音が聞こえてきたり、なんとも言えない不思議な音楽が聞こえてきたりなど耳に現れる人もいれば、身体が浮いた感じになる人もいる。

魔境

chdr036-s.jpg「神のお告げを聞いた」「天啓を受けた」「超能力を得た」などと言い出すのはこの類です。この不思議な体験を禅門では「魔境」といい、この「幻覚」にだまされたり執われたりすると「悟り」に到達することが出来ない。

オウムの麻原教祖とその弟子達は、体験した幻覚を解脱であると思い込み、それに執われそこから抜け出すことができなかったと思われる。

麻原は、幻覚作用が悟りへ到達するためのプロセスであることを知らなかった。だからこそ、幻覚から幻想を生み、幻想から妄想をめぐらし、その妄想から彼特有の教理をデッチあげて妄想を正当化した。

妄想の正当化は狂気を生み、狂気はやがて狂信へ・・・こうして純粋かつ熱心な求道者を暴走させることになった・・・。

純粋で熱心な人ほど魔境が現れる

chdr012-s.jpg私「尚子さん・・・わかった?法の光の修行ばかりでなく何を信心しても神秘体験はあるんだってよ。尚子さんみたいに純粋で熱心な人ほど魔境が現れるらしい。尚子さんは若いから、世間知らず宗教知らずなのは仕方ないけど、法の光の福田法然が唯一絶対の神の代弁者というのはどうかな・・・」
尚子「渡辺さんは神秘体験したことあるのですか?」
私「ありません!数年坐禅しても・・・、そ、そのお坊さんはこういっています。」

”幻覚(魔境)は、悟りへ到達するためのプロセスとしての出来事です。しかし、誰でも体験するということではなく人それぞれです。真剣に坐禅すると往々にして魔境が現れる場合があるということです。本気にならないで、いい加減な坐禅を遊び半分にやっている人には、魔境などは出てこない。不熱心な人が魔境をみないのは当然だが・・・”

尚子さんの方が先輩だよ

ilm11_aa05002-s.jpg「尚子さん・・私はこの部類なのですよ・・・酒色に溺れて世俗からなかなか抜け出せないのです。則子叔母さんに私のこと聞いてごらん・・。この前の参禅会のとき、坐る姿勢が悪くてバーンと警策棒で一撃され、坐禅中の居眠りが見つかって、また後ろから(喝ーッ)右肩に激しく打ち下ろされてしまった。
普通は叩かれると、むしろ爽快感があるのだけど、叩いた男は、おじさんの後に入門してきて悟りの認可を受けた若いフランス人だったので、イャーア 頭にきたな・・。何が悲しくて、日本人の俺が、日本の禅寺の中でヘンな外人に叩かれなくてはならないの?もう帰る!と思ったけどこらえて坐り続けた。こんな修行者だもの神秘体験なんてない。尚子さんのほうが先輩だよ」
というと、尚子さんは「あははは・・・」と大声で笑った。実にいい笑顔で、会ったときとは別人のような穏やかな若い女性の顔になっていました。

お世話になりました

pfh003-s.jpg尚子さんは私に「教団に自分を入信させた信仰上の上司である島田誠・真里夫婦にあってほしい」と言った。「脱会の意思を伝えるため」と「できれば島田夫婦も脱・マインドコントロールさせてほしい」という願いが含まれていることを感じたのでその用件を快諾。

尚子さんは、「私が島田夫婦と話合って結論が出るまでは教団活動をしない」という約束を交わして両親と東京に帰りました。駅から、「お世話になりました今から帰ります」という電話に、「あと2,3日会社休んで、古都鎌倉のお寺巡りなどもいいですね・・」と尚子さんに勧めました。

後日談

clmn038-s.jpg数年後、尚子さんの母親から「おかげさまで、尚子は結婚して一児の母親になりました」と挨拶があったので、「はい、よかったですね。知っていますよ・・あれから毎年尚子さんから年賀状が来ていますから」というと、「ま・・・そこまで信頼したんですね・・・」と絶句。

尚子さんにある日、どうしてあの法の光に入信したのか訊ねたところ、「私生活も、仕事も何もかもが平凡すぎてつまらなかった。もっと何か本当のこと『真理』を求めていました。平和すぎて・・・。法の光に共鳴したのではなく、心を満たしてくれるものなら何でもよかった、という感じです。今は何事もない単調な毎日がとても大事であると思えるようになりました」。

ご相談電話番号 0294-88-0417
ご相談メールアドレス soudan99wt@yahoo.co.jp
ご相談メールフォーム

カルト教団からの脱却 関連記事

カルト教団、驚愕の詐欺手口 カルト教団、法納金返還闘争編